研究概要 |
Matrix metalloproteinases(MMPs)は細胞外マトリックス成分の分解の主役を担う酵素群であり、組織のremodelingにおいて重要な役割を果たす一方、癌や拡張型心筋症などにおいて活性調節機構が破綻していることが報告されている。我々はこれまでに、ジストロフィン欠損マウス(mdx)の骨格筋でMMP-9が高発現していることを報告した。また、正常筋における実験的壊死・再生系においてもMMPの発現が増加していることから、これらの分子がジストロフィー変化や筋壊死・再生の機序に関与している可能性について検討を行ってきた。筋ジストロフィー犬の骨格筋を用いて検討したところ、MMP-2、MMP-9およびこれらの活性調節分子であるMT1-MMP、MMPの内因性阻害因子であるTIMP-1、TIMP-2のmRNAレベルの増加が見られた。また、ゼラチンザイモグラム法を用いた検討では、筋ジストロフィー犬の骨格筋におけるMMP-2,-9の活性が正常対照群と比較し著しく高いことや、in situザイモグラムにおけるMMP-2,-9の局在は、壊死・再生部位と一致していることを明らかにした。免疫組織化学法ではMMP-9は浸潤炎症細胞と共局在を示し、炎症反応との関連が示唆されたが、MMP-2の局在は筋ジストロフィー犬では抗体の反応性等の問題があり検討が困難であったものの、正常マウスにおける実験的壊死・再生系およびmdx骨格筋において再生線維周囲のmesenchymal fibroblastic cellと考えられる細胞に局在していることが明らかになった。現在、MMP-2陽性細胞の性格を明らかにするため、FACSを用いた解析と、既に導入済みであるMMP-2およびMMP-9各々のノックアウトマウスを用いて、実験的壊死・再生系を用いたMMP-2,-9の機能について解析中である。
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