研究概要 |
本研究期間のうち平成17年度には、痴呆性疾患や老化で認められる顕著な症状のひとつである記憶障害に関する脳反応脳の抽出を中心に研究を行った。用いた研究手法は、平成16年度の研究の多くと同様に大脳誘発脳反応という非侵襲的手法である。従来の記憶されているものの想起を伴う課題や脳反応記録では、自動的な記憶反応そのものの抽出が困難であるために、刺激自体を意識できない刺激(subliminal)としての視覚刺激を用いた(Hoshiyama et al. Human Brain Mapping, in press)。この手法は、これまでの視覚刺激方法ではできなかった持続的なsubliminal刺激が可能であり病態生理のみならず、生理心理学的な研究手法としても有用であることが期待される。手法については別に投稿中(Hoshiyama et al., Neurosci Lett)である。 また、運動・感覚について(Tamura, Hoshiyama et al., Eur J Neurosci)の情報処理についての基礎的研究。視覚と同様に聴覚に関する記憶と弁別の反応の抽出(Hoshiyama et al.,投稿中)についても成果が出ている。平成17年度中に行った記憶に関する基礎的研究は退行変性を生じる初期の変化を捉えられるものと期待され、分子生物学的な診断とともに病態の初期段階での把握と治療への貢献ができるものと考えている。
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