研究概要 |
今年度は脊髄前角細胞のターゲッティングを目的に検討開始したが、前角細胞の培養は胎生期の脊髄から単離する必要があり収集が難しく技術を獲得するのに時間を要するため、同細胞の培養を検討するのと並行して、既に培養技術を習得している脊髄後根神経節(DRG)ニューロンを用いて標的ペプチドの探索技術の獲得を目指した。先ず、7桁のランダムなペプチド配列を含むphage display peptide library (Ph.D.-CX7Ckit)を利用して、DRG特異的なペプチド配列の決定を試みた。単離培養したadult C57/BL mouseのDRGニューロンとファージを反応孵置(10分)後、DMEM(protease inhibitorを含む)にて回収し、希釈後E.coli(ER2738)に感染させ、Agar topに混合しLB Agar IPTG Xgal plateに重層、37℃にて一晩反応孵置して、プラークを形成するファージのDNA sequenceの中で長い同一配列を示すものから、候補ペプチドA, B, Cを得た。さらに、mouseに候補ペプチドを含むファージ(1010pfu)を静注し、15分間PBSで還流後、組織を採取し、単離細胞と候補ペプチドを含む1010pfuのファージをともに10分孵置後、抗ファージ抗体を用いて免疫染色し、ペプチドAのみがDRGに染色性を示し特異的と考えられた。次に、候補ペプチド同定のプロセスの効率化を考慮して、neuro2A(neuroblastoma cell line)、HEK293,mouse proximal tubular cell, opossum kidneyなどのDRG以外の細胞を用いたsubtractive panning protocolを5回繰り返してファージ数の増幅を行う方法にても候補ペプチドの同定を行い候補ペプチドD, E, Fを得た。培養細胞に候補ペプチド配列を含むphage106pfuを10分間孵置し、十分wash後、固定し免疫染色を施行した。ペプチドDを含むphageを投与したときDRGのみで染色され、peptide DがDRG特異的なものと考えられた。
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