研究課題/領域番号 |
16590833
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
黒田 康夫 佐賀大学, 医学部, 教授 (30117105)
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研究分担者 |
末岡 栄三朗 佐賀大学, 医学部, 助教授 (00270603)
末岡 尚子 佐賀大学, 医学部, 講師 (20321846)
雪竹 基弘 佐賀大学, 医学部, 講師 (10304891)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 多発性硬化症 / ribonucleoprotein / hnRNP B1 / HAM / 自己免疫 / 脳脊髄液 / hnRNP A1 |
研究概要 |
我々は、多発性硬化症(MS)患者の脳脊髄液中にheterogeneous ribonucleoprotein(hnRNP)A2/B1に対する抗体が検出されることを見出し、これがMSの疾患マーカーになりえることを提唱した。本研究では、このことに結論づけることを目的にして、168の髄液サンプルについて抗hnRNP-A1およびA2/B1抗体を測定した。検体はすべて鹿児島大学神経内科の症例で、疾患名、患者背景は隠して当科に送られてきた。測定結果を鹿児島大学に送った後、疾患名が開示された。すべての症例がなんらかの神経症状を有し、さらに抗human T-lymphotropic virus type-I(HTLV-I)の抗体の測定が行われていたことが判明した。102例の抗HTLV-I抗体陰性例の髄液では、MSで抗hnRNP抗体が最も高頻度に検出され(88.0%、n-25)、変性神経疾患群(15.0%、n=20)(p<0.0001)および髄膜脳炎群(38.1%,n=19)(p<0.0013)との間に頻度において有意差を認めた。髄液抗hnRNP A1抗体の頻度に関しては3疾患群間に有意差は認めなかった。一方、抗HTLV-I抗体陽性の66例に関しては、髄液抗hnRNP A1抗体およびA2/B1抗体ともに疾患間に有意差はなく、報告されていたHTLV-associated myelopathy(HAM)と抗hnRNP A1抗体の関連性は認めなかった。 今回の研究において、MS患者の約90%に髄液で抗hnRNP A2/B1抗体が検出され、MSのマーカーになりえることを確認した。しかし、他疾患でも低頻度であるが検出されることも判明した。しかし、MSと他疾患では抗体が認識するhnRNP A2/B1の部位が異なる可能性が推測され、現在その解析を行っている。さらに、今回の研究ではHAM患者の全例に抗hnRNP A1が検出されるとの他施設からの結果は否定された。
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