研究概要 |
高次脳機能検査としてこれまで,WAIS-RやWCSTなど神経心理学的手法が臨床の現場で用いられているが、それら神経心理学的検査を補う,またはそれらに置き換わる「定量的・神経生理学的検査システム」を確立するために本研究を開始した。本研究では視覚性事象関連電位検査の図形課題として,形・色の2要素を含んだ図形でいずれか一方の要素に注目させる選択的視覚注意課題(visual selective attention)と形・色の2要素を含んだ図形で同時に両方の要素に注目させる分配的視覚注意課題(visual divided attention)を用いて、それらの課題の有用性を検討することとした。また、平行して電気生理学的検査である視覚性事象関連電位検査の異常が,核医学的検査である脳のポジトロン断層撮影検査における脳血流や脳代謝の定量的異常とどのような相関を示すかを検討することとした。各種図形を用いた課題による視覚性事象関連電位検査を行い,健康成人10例、パーキンソン病10例を対象として,以下の2種類の刺激課題を用いた。視覚性事象関連電位の潜時・振幅の測定(N100,P200,N200,P300,手指反応時間の測定)を行った.脳波記録電極の部位はCz, Pz, Oz, C3,C4,P3,P4,T5,T6,O1,O2とし,基準電極はA1A2連結電極とした.核医学的検査としては、安静時に脳のポジトロン断層撮影検査(FDG Positron Emission Tomography)を施行し、脳血流と脳代謝の定量的測定を行った.視覚性事象関連電位の潜時・振幅の測定値と脳血流量との相関を調べた。
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