研究概要 |
WAIS-RやWCSTなどの神経心理学的研究方法が高次脳機能検査としてこれまで,臨床現場で用いられているが、これらの神経心理学的手法を補完する「定量的・神経生理学的検査システム」を確立するために本研究を開始した。本研究では視覚性事象関連電位検査の図形課題として,形・色の2要素を含んだ図形でいずれか一方の要素に注目させる選択的視覚注意課題(visual selective attention)と形・色の2要素を含んだ図形で同時に両方の要素に注目させる分配的視覚注意課題(visual divided attention)を用いて、それらの課題の有用性を検討することとした。また、平行して電気生理学的検査である視覚性事象関連電位検査の異常が,核医学的検査である脳のポジトロン断層撮影検査における脳血流や脳代謝の定量的異常とどのような相関を示すかを検討することとした。各種図形を用いた課題による視覚性事象関連電位検査を行い,平成19年度は更に症例を重ね、大脳皮質基底核変性症10例、多系統萎縮症10例、進行性核上性麻痺10例を対象として,以下の2種類の刺激課題を用いた。視覚性事象関連電位の潜時・振幅の測定(N100,P200,N200,P300,手指反応時間の測定)を行った.脳波記録電極の部位はCz,Pz,Oz,C3,C4,P3,P4,T5,T6,O1,O2とし,基準電極はA1A2連結電極とした.核医学的検査としては、安静時に脳のポジトロン断層撮影検査(FDG Positron Emission Tomography)を施行し、脳血流と脳代謝の定量的測定を行った.視覚性事象関連電位の潜時・振幅の測定値と脳血流量との相関を調べた。
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