研究課題
基盤研究(C)
【方法】成体Sprague-Dawleyラット(体重270-330g)を使用し、正常群(n=3)、虚血群(n=14)と偽手術群(n=4)の三群に分けた。虚血群では右中大脳動脈起始部を血管内栓糸法で90分閉塞し、再開通させ24時間から2週後に灌流固定し連続切片を作成した。免疫染色には抗NG2抗体以外に、成熟OLGのマーカーとして抗GsT-pi抗体やNB3C4抗体、髄鞘のマーカーとして抗ミエリン関連糖蛋白(MAG)抗体や抗ミエリン塩基性蛋白(MBP)抗体、細胞内保護的シグナルマーカーとして抗リン酸化CREB抗体を使用した。【結果】OPCは再灌流1週間以降、特に2週間後、梗塞巣周囲のCREBリン酸化が持続的に亢進している領域で、著明な細胞体と突起の肥大やNG2発現量増加を示し、細胞数も有意に増加していた。OPCは細胞分裂像のみならず単極細胞ないし双極細胞の幼弱形態を示すものもあった。同部位では、再灌流48時間の時点で有意に減少していた成熟OLG数は2週間後、正常レベルに回復していた。同様に、48時間の時点では髄鞘の淡明化や有髄線維の不鮮明化が認められていたが、2週間後かなり回復していた。このOPC活性化は同細胞核におけるCREBリン酸化を伴っていた。これらの変化は大脳皮質のみならず脳梁でも認められ、灰白質および白質の梗塞巣周囲で普遍的に生ずる現象であった。一方、本虚血モデルで梗塞巣周囲に位置する脳室下層でのOPCの反応は、他の梗塞巣周囲領域と有意な差はなく、上記OPC細胞数増加は、主として各々の脳実質局所に存在するOPC活性化によるものと考えられた。【結論】OPCは、脳梗塞巣周囲の成熟OLG傷害部位で活性化され増殖・分化し、再髄鞘化など組織修復に関与している可能性が示唆された。
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