研究課題/領域番号 |
16590849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
北川 泰久 東海大学, 医学部, 教授 (30124944)
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研究分担者 |
亀津 優 東海大学, 医学部, 講師 (30233977)
関山 西里 東海大学, 医学部, 講師 (40276811)
大熊 壮尚 東海大学, 医学部, 講師 (50307005)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | 抗リン脂質抗体 / 脳梗塞 / 抗凝固療法 / 抗血小板療法 / 二次予防 / 抗カルジオリピン抗体 / ループスアンチコアグラント / 活性化血小板 |
研究概要 |
抗リン脂質抗体症候群は免疫学的な機序を基盤としておこる血管障害の原因として注目されている。 抗リン脂質抗体にはいつかの種類があるが臨床的に重要とされているのはβ2-GPI依存性抗カルジオリピン抗体とループスアンチコアグラントであり、脳梗塞250例におけるこれらの頻度を検討したところ、前者は2.8%・後者は9.2%であった。抗リン脂質抗体が陽性の血栓症に対する治療には、抗凝固療法、抗血小板療法などの抗血栓療法と、副腎皮質ステロイド、血漿交換療法、γ-グロブリン療法などの免疫療法が報告されている。今年度の研究では、抗リン脂質抗体症候群での脳梗塞の再発予防に抗血小板療法と抗凝固i療法のいずれが最も適切な治療法であるのかを明らかにする。 抗リン脂質抗体症候群(APS)における脳梗塞の再発予防療法に対して、抗血小板薬の単独療法と抗血小板療法と抗凝固療法との併用療法を対比検討した。抗リン脂質抗体が陽性の脳梗塞20例を対象とした。内訳は男性10例、女性10例、平均年齢は48±10歳、原発性抗リン脂質抗体症候群13例、SLEに伴う抗リン脂質抗体7例である。抗リン脂質抗体症候群は診断基準に従い、β2-GPI抗カルジオリピン抗体陽性もしくはlupus anticoagulant陽性例とした。一次ポイントを脳梗塞の発症とし、1群を抗血小板療法のみ(アスピリン81mgまたはチクロピジン200mg)11例、2群を抗血小板療法と抗凝固療法(INR2.0-3.0,平均INR2.4)との併用群9例とした。両者における平均年齢、入院時のNIHSS、高血圧、糖尿病・高脂血症などの危険因子の頻度には差を認めなかった。両群間での脳梗塞の再発累積率についてKaplar-Meierの生命表分析を用いて解析した。平均観察期間は3.9±2.0年である。抗血小板薬単独群と抗血小板薬と抗凝固薬の併用群を比べると、単独群での累積脳梗塞発症率は併用群に比べて有意に高かった(Log rank検定p=0.026)。結論として抗リン脂質抗体陽性脳梗塞例の再発予防治療として・抗血小板療法と抗凝固療法の併用が抗血小板療法単独よりも有用である。今後、抗凝固療法単独療法の有用性の検討を要する。
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