ラット一過性局所脳虚血モデルを用い以下の実験を行った。雄性Sprague-Dawley Rat(体重200-250g)を用い、1.5%ハロセン麻酔下にシリコンを先端に付着した4-0外科用ナイロン糸を左総頚動脈から内頚動脈を経て中大脳動脈起始部まで挿入することによって脳虚血を導入し、虚血負荷を均一化するため虚血中の直腸温および頭蓋温度は37.0±0.5℃に維持した。実験動物は、I: Vehicle群(対照群、n=6)、II: Hypothermia(35℃)群(n=6)、III:脳保護薬(PARP)群(n=6)、IV:脳保護薬(PARP)+Hypothermia(35℃)群(n=6)の4群に分類した。IおよびIII群は常温群で、体温コントロールは虚血開始時より導入し、虚血中脳温および直腸温を37℃に保った。脳保護薬群はPARPを用い、対照群には同量のVehicleを投与した。IIおよびIV群は低体温群で、虚血中脳温および直腸温を35℃に維持し、虚血作成直後にHypothermia(35℃)群(II群)ではvehicle、脳保護薬+Hypothermia(35℃)群(IV群)ではPARP(3mg/kg)を各々投与した。2時間の脳虚血後、ナイロン糸を抜去し再開通を行った。再開通24時間後断頭し、直ちに脳を摘出・凍結し、Cryostatにて厚さ20μmの冠状断切片を作成した。ヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色を行い、image analyzerを用いて脳梗塞面積を皮質と線条体に分けてそれぞれ測定し、積算することにより、脳梗塞体積および脳浮腫体積を算出した。Hypothermia(35℃)群では、常温(37℃)群に比し、皮質・線条体梗塞体積の縮小傾向を認めたもののHypothermia(35℃)単独では有意差を認めなかった。さらに脳保護薬(PARP)に低体温(35℃)を併用する群(IV群)では、常温でのPARP群(III群)に比し、有意に皮質梗塞体積は縮小した(p<0.05)。
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