骨格筋細胞が、発生・成熟後の環境変化により、主に好気的代謝を営むタイプ1線維と嫌気的代謝を営むタイプ2線維に再分化(リモデリング)する分化メカニズム(神経支配によらない筋細胞内在性のメカニズム)を解明、線維タイプリモデリングの各種病態生理における役割を明らかにしたいと考えている。本研究において「線維タイプ決定シグナル」のスクリーニングは、線維タイプの性質決定に密接に関わる遺伝子(タイプ1線維におけるミオグロビンなど)、各線維タイプで特異的に発現する遺伝子(例えばタイプ2A線維におけるミオシン重鎖IIAアイソフォーム)の転写活性を指標におこない(例えば、ミオグロビン遺伝子やトロポニンI fast遺伝子の転写活性を促進し、ミオシン重鎖IIA遺伝子の転写活性を抑制するものを「slow fiber switch」候補とする)、この作業を繰り返し、複数の遺伝子において共通したシグナルを探すことにより、候補シグナルを絞り込んでゆく。 平成17年度は、前年度に作製したレポータープラスミドを用いて線維タイプ決定シグナルの検索を進めた。その結果、いくつかの遺伝子のプロモーター領域のfast fiber switch候補となるcis elementを同定した。 今後、検索対象遺伝子を増やし、また、候補領域をさらに絞り込むことにより、fast fiber switchとして働く転写調節因子を同定する予定である。
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