研究概要 |
胸腺筋様細胞から我々が最初に骨髄細胞のコロニーアッセイ法で見出した80-kDaと100-kDaの造血因子はアミノ酸配列から新規造血因子であることが確認され、リコンビナント製品の開発にも成功している。これらの二因子は正常脳内神経系細胞や、培養グリア細胞からも産生が確認され、特に分子量、作用の点で類似するマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)とは、抗原性、生化学的特徴から明確に異なり、造血活性がM-CSFの作用でないことを示すことができた。 新規二因子はM-CSF, GM-CSF等との組み合わせで、脳固有なミクログリアの分化増殖を誘導すると考えられる結果を得ている。さらに脳内では、神経細胞自体の生存維持にも重要な作用をしていることを認めた。これらの二因子と加齢との関係を骨髄細胞で調べたところ、加齢にともない、反応性が高まることが判明した。現在その意義を追求している。 一方、重症筋無力症者胸腺ではこれらの二因子の過剰産生が認められ(Clinical Immunol Supl 1: s192-193,2005)、本疾患との深い関係が示唆された。当該二因子はリンパ系の活性化、他サイトカインとの共同作用で、B-リンパ球増殖をもひきおこす多様な生物活性を有することが確認され(第58回胸部外科学会、10,7,2005,岡山;第78回日本生化学会、10,22,2005神戸)、医薬品としての適応について、検討を開始した。
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