研究課題
基盤研究(C)
骨粗鬆症は高齢化社会を迎えた我が国において医学的にまた社会的に大きな問題となっている。しかし、骨粗鬆症の成因および病態の詳細は未だ明らかではなく、その解明は急務となっている。骨代謝は骨形成を担う骨芽細胞と骨吸収を担う破骨細胞によって、そのバランスが保たれている。しかし、これまでに線溶系因子の活性の変化により、骨芽細胞や破骨細胞の機能がどのように影響されるかを明かとした報告はなく、線溶系がどのようなメカニズムで骨代謝を調節するかについて判然としていない。私共は線溶系各因子の遺伝子欠損マウスを用いて線維素溶解系の活性化および不活性化がどのように骨代謝に影響を及ぼすかについて検討した。この検討により骨髄細胞の破骨細胞への分化能力および分化後の骨吸収能力に関してはコントロールである野生型マウスとurokinase-typeプラスミノーゲンアクチベータ受容体の遺伝子欠損マウスとの間に有意差は認められなかった。一方、これらの細胞による石灰化能力に関しては、urokinase-typeプラスミノーゲンアクチベータ受容体の遺伝子欠損マウス由来の骨髄細胞の方が、野生型マウス由来の骨髄細胞と比較して有意に高い石灰化能力を有することが明らかとなった。加えて、線溶系因子の活性化の程度が高い場合には、大腿骨海綿骨密度を高くし、また、低い場合には大腿骨海綿骨密度を低くする機構が作用することが明らかとなった。一方、プラスミノーゲンノックアウトマウスの脛骨から採取した骨髄細胞の破骨細胞分化能力と骨破壊能力は野生型マウスのそれらよりも高く、一方、α2-アンチプラスミンノックアウトマウスの脛骨から採取した骨髄細胞の破骨細胞分化能力と骨破壊能力は野生型マウスのそれらよりも低いことが明らかとなった。これらの結果から、線溶系の活性の変化による大腿骨海綿骨密度の変化は、破骨細胞の分化や骨破壊能力の違いによるものであることが示唆された。
すべて 2005
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