研究課題
昨年度までの研究から、Nitric Oxide(NO)による血管平滑筋細胞における炎症性サイトカイン特に、monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)の発現抑制には転写因子CEBP-homologous protein(CHOP)の発現が関連すること、またCHOPはロイシンジッパー構造を介してC/EBPと2量体を形成して、C/EBPのDNA結合を阻害することからC/EBPの活性を抑制することを明らかにした。一方、高濃度のNOは過剰なCHOP発現を介してMCP-1遺伝子の上流域の-190から-179番塩基の間にCHOPが直接作用して亢進させる事を見出し、本年度はさらにその機構の詳細を検討した。1)ゲルシフト解析から、NO供与体であるSodium Nitroprusside(SNP)は血管平滑筋細胞においてMCP-1遺伝子の上流域-186から-184塩基を特異的に認識する核蛋白を誘導した。この部位の塩基配列は他の報告においてCHOP認識配列とされる配列と一致した。さらにこの蛋白のDNAへの結合は抗CHOP抗体で阻害された。2)高濃度SNPおよびCHOP過剰発現によるMCP-1プロモーター活性の誘導は、我々が同定したCHOP反応領域のオリゴDNAをリポーター遺伝子とともに導入した場合デコイと作用してMCP-1プロモーター活性が低下することが明らかになった。以上からNOにより誘導されるCHOP遺伝子はその発現量より炎症性遺伝子の発現抑制と発現亢進の2方向性に作用する特異な転写調節因子であることが明らかになった
すべて 2006 2005
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