研究課題
Lectin-like oxidized LDL receptor-1(LOX-1)およびScavenger receptor that binds phosphatidylserine and oxidized lipoprotein(SR-PSOX)は、酸化LDLを結合し取り込む新規のスカベンジャー受容体である。その後の検討で、SR-PSOXは、ほぼ同時期に米国の研究者により発見された膜貫通型ケモカインCXCL16と同一分子であり、その受容体はCXCR6であることが判明した。本研究において、その両者の発現をヒト冠動脈硬化病変組織にて比較検討したところ、SR-PSOXは主にマクロファージに発現される一方、LOX-1は主に内膜平滑筋細胞に発現されることが明らかとなった。また、SR-PSOXの発現調節を培養マクロファージにて検討したところ、ガンマインターフェロンおよび酸化LDLにてその発現が誘導されることが示された。その転写調節機構については現在検討中である。一方、抗SR-PSOX抗体により、培養ヒトマクロファージにおける酸化LDLの取り込みの約30%をSR-PSOXが担うことも示された。さらに、SR-PSOX遺伝子ノックアウトマウスの作製に成功し、高脂血症マウスとの交配を含め、現在その機能を解析中である。LOX-1の転写制御機構を検討したところ、PPAR alphaリガンドによる転写にはそのプロモーター領域に存在するGC boxが重要であることが明らかとなった。また、平滑筋細胞に対する強力な増殖因子であり、ヒト動脈硬化病変で発現されるHB-EGFが、平滑筋細胞でのLOX-1の発現を誘導することも示された。さらに、ET-1プロモーターによりヒトLOX-1を血管壁細胞にて強発現するトランスジェニックマウスを確立し、現在そのin vivoでの役割を検討中である。
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Biochemical Biophysical Research Communication (印刷中)
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