研究課題
基盤研究(C)
本研究は、近年問題になっているメタボリック症候群発症の分子機構を、本邦で頻度の高いCD36欠損症をモデルに明らかにしたものである。特に、メタボリック症候群における脂質代謝異常として空腹時における高トリグリセリド血症、食後高脂血症が知られているが、その分子機構は全く明らかではなかった。本研究において、以下の点が明らかとなった。CD36欠損症では、空腹時において高トリグリセリド(TG)血症、低HDL-コレステロール血症を呈した。また、脂肪負荷試験たよって、食後の高TG血症、アポB48の増加を認めた。このことからCD36欠損症における高TG血症の原因として小腸由来リポ蛋白の増加が示唆された。次にCD36ノックアウトマウスを用いて以下の結果を得た。まず、最初にCD36ノックアウトマウスが食後高脂血症を呈するか否かをオリーブ油負荷にて確認した。その後、食後高脂血症のメカニズムを解明するためTriton-WRを用いたリポ蛋白の異化の阻害実験を行った。CD36ノックアウトマウスでは、空腹時に行ったTriton-WR実験では、対照と差をみとめないものの、オリーブ油負荷後に行った実験において、対照より高い血清TG値を示し、本症においては、小腸からのカイロミクロン分泌が増加していることが示唆された。実際、腸リンパ液を直接採取してTG値を測定したところ、CD36ノックアウトマウスで増加しており、CD36欠損状態では、小腸からのカイロミクロン分泌が増加していることが示唆された。本研究の結果、CD36欠損状態では、小腸における食後のカイロミクロン産生が増加していることが明らかとなった。この結果は、本症における高TG血症、食後高脂血症の一因と考えられ、メタボリック症候群の際の高脂血症の発症の分子機構として重要であると考えられる。
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