研究概要 |
生活習慣の"欧米化"あるいは"現代化"の位相が異なる日本、イタリア、タイ、中国、アメリカの5ヶ国で、小児期の生活習慣、ことに食生活と生活習慣病危険因子との関係を解析した。前期5ヶ国で小児および成人の食生活、生活習慣病の有病率と死亡率、小児および成人での生活習慣病危険因子の保有率について1960年代から現代に至るまでの年次推移を各国の国民栄養調査、人口統計、学術論文から調査した。 1日総摂取熱量、1日摂取脂肪量、脂肪熱量比と小児肥満については、1960年代から現在に至る約40年間、日本、アメリカ、イタリアでは1日総摂取熱量(Kcal)にほとんど変化はなかったが、中国、タイでは最近20年間に増加していた。1日摂取脂肪量(g)や脂肪熱量比は、40年間で5ケ国いずれの国においても増加するかもしくは最近では頭打ちの傾向にあった。これらの年次変化はアメリカ、日本、イタリア、そしてタイ、中国の順で5〜10年の位相をもって平行していた。そして、生活習慣病の危険因子の一つである小児肥満の年次推移はアメリカ、日本、タイ、中国の順にそれぞれ10〜5年の位相をもってその増加のカーブが平行移動していた。以上より、1日摂取脂肪量、脂肪熱量比の増加(中国、タイ、においては1日総摂取熱量も増加)とともに小児肥満が増加することが示唆された。 また、日本1200名、タイ600名、アメリカ600名、イタリア1600名の採血が完了し、順次Biomarkersの測定を行っている。今後BMI,肥満度、体脂肪率、さらには栄養及び運動との関連を解析する予定である。
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