研究課題/領域番号 |
16590887
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
池田 幸雄 高知大学, 医学部, 助手 (60281185)
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研究分担者 |
末廣 正 高知大学, 医学部, 助教授 (70136381)
公文 義雄 高知大学, 医学部, 助教授 (40215033)
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キーワード | パラキオソナーゼ / PON1 / 糖尿病 / インスリン抵抗性 |
研究概要 |
本計画の遂行にあたり、平成16年度に得られた研究成果は以下の通りです。 1.高濃度グルコース、インスリンが血清パラオキソナーゼ(PON1)遺伝子の転写活性に及ぼす影響 種々の長さのPON1遺伝子プロモーター領域を組み込んだルシフェラーゼ発現ベクターを作成し、ヒト肝癌由来HepG2細胞においてレポーター遺伝子アッセイを行った。グルコースは、濃度依存性にPON1転写活性を増強したが、GCボックス配列を欠く上流配列92bpではグルコースの効果は認められなかった。マニトールやL-グルコースは転写活性に影響しなかった。また、インスリンもPON1転写活性を増強し、グルコースと相乗効果を示した。別なヒト肝細胞株HuH7においても同様の検討を行い、D-グルコースの効果が、HepG2細胞に特異的に認められる現象ではないことを確認した。 2.高濃度グルコースおよびインスリンがPON1発現量に及ぼす影響 HuH7細胞を種々の濃度のグルコース存在下で培養後にWesternblottingを行い、グルコースが、PON1転写活性のみならず、PON1蛋白量も増加させることを証明した。 3.高濃度グルコースによりもたらされるPON1発現量変化の機序 PKCを活性化するPMAはPON1転写活性を増強すること、PKCαやPKCζのdominant negative変異体の過剰発現によりPON1転写活性が低下すること、グルコースによるPON1転写増強効果はPKC阻害薬により有意に抑制されることを見出した。また、グルコースやPMAによるPON1転写増強効果は、Sp1阻害剤による前処置によりほぼ消失した。 高濃度グルコースによるPON1転写活性の亢進に、PKCによるSp1活性化を介する機序が関与することが示唆された。今後、高血糖状態で増加する酸化ストレスの関与を検討するとともに、実験動物を用いたin vivoでの検討を行う予定である。
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