研究課題/領域番号 |
16590888
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井口 登與志 九州大学, 大学病院, 講師 (00294926)
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研究分担者 |
小林 邦久 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30335963)
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キーワード | 糖尿病 / 血管合併症 / 膵β細胞 / 酸化ストレス / NAD(P)Hオキシダーゼ / 糖毒性 / レニンアンギオテンシン系 |
研究概要 |
糖尿病血管壁における酸化ストレス亢進の機序として血管壁NAD(P)Hオキシダーゼ活性化の重要性を報告してきたが、その機序として高血糖とともに組織レニンアンギオテンシン系亢進によるNAD(P)Hオキシダーゼ発現増加を明らかにした。 また、血管壁のみばかりでなく膵β細胞においてNAD(P)Hオキシダーゼの構成蛋白の存在を確認し、高血糖やインスリン分泌刺激薬であるスルフォニル尿素剤により活性化され酸化ストレスを亢進させることを報告した。以上より、2型糖尿病の進展増悪と血管合併症発症進展のいずれにもNAD(P)Hオキシダーゼ活性化による酸化ストレス亢進が重要な役割を果たす可能性が示唆された。2型糖尿病モデル動物を用いた検討でも膵島においてNAD(P)Hオキシダーゼの発現増加と酸化ストレスの亢進を認め、興味あることにアンギオテンシン受容体(AT1)拮抗薬の投与により2型糖尿病モデル膵島におけるNAD(P)Hオキシダーゼ発現増加と酸化ストレス亢進の改善およびβ細胞の保護効果を認めることを報告した。2型糖尿病モデル膵島におけるNAD(P)Hオキシダーゼ発現増加に血管壁と同様に高血糖とともに組織レニンアンギオテンシン系亢進の関与が推定された。そこで、組織レニンアンギオテンシン系の重要な役割を果たしているキマーゼおよび組織アンギテンシン変換酵素(ACE)の発現動態について糖尿病動物の心血管組織および膵島において検討した。糖尿病動物の心、腎および膵島において明らかなキマーゼ発現増加を認める新知見を得ており、糖尿病における心血管障害およびβ細胞障害進展抑制のための新たな治療ターゲットとなる可能性が示唆された。 今後その発現異常のさらなる分子機序の解明およびこれらの機序をターゲットした新規の合併症治療およびβ細胞保護のための創薬を開始する予定である。
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