研究概要 |
経静脈グルコース負荷試験(FSIGT)の際の血糖値の低下は、インスリン分泌(AIR)、末梢組織(主に骨格筋)への糖取り込みに特異的なインスリン感受性(SI2^*)、インスリン非依存性(グルコース濃度依存性)糖取り込み(SG2^*)、インスリンまたはグルコース依存性の糖負荷に対する肝臓からの内因性糖放出(EGP)の抑制などにより規定される。今回は、安定同位体グルコースを用いたFSIGTの解析において、2-compartment minimal modelに肝臓のcompartmentを組み込みんだモデル(AJP288:E1038,2005)をもとに、グルコース(hSG2^*)もしくはインスリン(hSI2^*)がEGPを抑制する作用の定量化を試みた。対象は健常者15名と、BMIをマッチさせた耐糖能異常者9名(境界型3名、糖尿病6名)。 成績 耐糖能異常者では、耐糖能を表すKg値、AIRは低値であった。健常者、耐糖能異常者のSI2^*はそれぞれ15.14±1.76、14.01±1.40(p=0.82)、SG2^*は0.563±0.097、0.732±0.069(p=0.14)で有意差を認めなかった。すなわち、非肥満の耐糖能異常者では、末梢のインスリン感受性、インスリン非依存性糖取り込みには障害を認めなかった。hSI2^*はそれぞれ9.57±1.23、6.02±0.67(p=0.14)で有意差は認められなかったが、hSG2^*は0.930±0.134、0.524±0.032(p=0.005)で、耐糖能異常者において有意に低値であった。 結論 耐糖能異常者では、EGPを抑制するグルコース作用が低下している可能性が示唆された。今後症例数を増やし、更に検討する必要があると考えられた。
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