研究概要 |
慶應義塾大学病院通院中の1型糖尿病患者(原則として、急性発症型、n=200-300)のうち、(膵島関連)自己抗体(抗GAD抗体、もしくは抗IA-2抗体)陽性者をリクルートし、抗GAD抗体陽性が確認された1型糖尿病患者に対して、倫理委員会の承認をすでに得た書面を使用してインフォームドコンセントを取得し、HLAタイピングを行った。その結果、HLA DR9を有し、かつ罹病年数の短い(発症3年以内の)症例に絞り、その患者末梢血リンパ球を膵β細胞抗原(ヒトGAD65)特異的刺激(5μg/mlの濃度で37℃、5%CO2、48-72時間培養の条件下)し、フローサイトメターを用いて細胞内サイトカイン(IFNγ、IL-4)の検出を行い(ヒトGAD65反応性IFNγ産生CD4細胞の検出)、同時に、1型糖尿病の疾患活動性の指標として有用と考えられる血清IP-10/CXCL10値(T-helper1タイプの活性化された細胞を局所に誘導する因子)も測定し、高値を示す症例を3名選出した(33才男性,49才女性,54才女性,いずれもDR9-DQ3)。現在、ヒトGAD65を抗原として、GAD65のT細胞クローンの作成を図っている。最初の数回の抗原刺激については、小型のフラスコで行い、一度、T細胞ラインを増やし、その後7日から14日ごとでさらに抗原刺激を行った。刺激時に2回に1回程度、細胞の状態によりIL-2を添加、増えて来た細胞を、IL-2で増殖させ、さらに十分にレスティングにし、反応性を調べた。stimulation indexで20以上の細胞を限界希釈する際、96穴の平底を使用し、5〜10細胞/ウエルでまいて限界希釈を行い、24穴プレートに移した。また、ヒトGAD65ペプチド(274-286 IAFTSEHSHFSLK,339-352 TVYGAFDPLLAVAD,115-127 MNILLQYVVKSFD)に分け、各ペプチドに対する1型糖尿病患者患者末梢血リンパ球の反応性についても細胞内サイトカイン染色のシステムを用いて検討した。
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