研究概要 |
1型糖尿病患者(急性発症型)のうち、抗GAD抗体陽性が確認された患者に対して、倫理委員会の承認を得た書面を使用してインフォームドコンセントを取得し、HLAタイピングを行った。その結果、HLA DR9を有し、かつ罹病年数の短い症例に絞り、その患者末梢血リンパ球をヒトGAD65抗原(5μg/ml)で刺激し、フローサイトメーターを用いて細胞内サイトカインの検出を行った(ヒトGAD65反応性IFNγ産生CD4細胞の検出)。同時に、1型糖尿病の疾患活動性の指標として有用と考えられる血清IP-10/CXCL10値(T-helper1タイプの活性化された細胞を局所に誘導する因子)も測定し、高値を示す症例を選出し(33才男性,DR9-DQ3)、ヒトGAD65を抗原として、本抗原特異的T細胞クローンの作成を図った。ヘパリン採血した静脈血から白血球成分を取り出し、96穴平底プレートに1.5×10^5細胞/ウェルとなるように蒔き、リコンビナントヒトGAD65(rhGAD65)10μg/mlを添加し、7-9日後に6時間rhGAD65でパルスした抗原提示細胞(40Gyの放射線照射を施した末梢血)を添加、さらに7-9日後に増殖のよいウェルを選択し、抗原提示細胞(3×104細胞/ウェル)の存在下0.3細胞/ウェルで限界希釈を行った。増殖の認められたウェルを抗原提示細胞存在下で培養したところ、モノクローナリティのある細胞群を得た。この細胞群が、CD4陽性細胞であり、かっ、G4D65反応性であることが確認された。ヒトGAD65ペプチドに対する反応性については、再現性に問題を残しており、今後引き続き検討予定である。
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