研究概要 |
1.劇症1型糖尿病患者におけるエンテロウイルス抗体価の検討 平成16年度において、発症早期の劇症1型糖尿病患者19名と、年齢・性をマッチさせた発症早期自己免疫性1型糖尿病患者18名および健常コントロール19名において、エンテロウイルスIg-M,Ig-G,Ig-A抗体価を測定したところ、劇症1型糖尿病患者では、自己免疫性1型糖尿病患者および健常コントロールに比し、Ig-A抗体価が有意に上昇していることが明らかになった(Diabetologia 2005)。この測定系は、特定のウイルスではなく、エコーウイルス、コクサッキーA群ウイルス、コクサッキーB群ウイルスなど広範囲のエンテロウイルスに反応する抗体を検出し得るものであったことから、標記の患者血清の一部を用いて、コクサッキーA群2型、同A群3型、同A群4型、同A群5型、同A群6型、同A群7型、同A群9型、同A群10型、同A群16型、同B群1型、同B群2型、同B群3型、同B群4型、同B群5型、同B群6型の個々の中和抗体価を測定した。しかし、有意な抗体価の上昇はいずれのウイルスにおいても、認めなかった。 2.患者剖検膵におけるエンテロウイルス感染の検討 発症直後に死亡した劇症1型糖尿病患者剖検膵組織を用いて、コクサッキーウイルス感染の有無を検討した。ウイルス由来抗原の存在を免疫組織科学的に検討したところ、膵外分泌領域に存在することが明らかになった。また、膵島領域にもその存在が疑われた。現在in situ hybridization法により、この結果を検証中である。
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