研究分担者 |
小田辺 修一 久留米大学, 医学部, 助手 (70194553)
高根 直子 久留米大学, 医学部, 講師 (70261071)
中山 ひとみ 久留米大学, 医学部, 助手 (20368955)
高田 和奈 久留米大学, 医学部, 助手 (30368956)
栗田 弥生 久留米大学, 医学部, 助手 (40368957)
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研究概要 |
前年度の研究において,serum amyloid P component promoterを用いて全長ヒトアディポネクチンを肝で発現させることにより,高脂肪/高蔗糖餌による肥満が抑制されることを示し,その機序がエネルギー消費の促進によることを明らかにした。内臓および皮下脂肪組織を詳細に検討したところ,アディポネクチントランスジェニックマウスでは,内臓脂肪・皮下脂肪がともに少なく,脂肪細胞サイズが小さいことが示された。脂肪組織の所見に一致して,トランスジェニックマウスは高脂肪/高蔗糖餌下で野生型マウスより血中インスリンおよびレプチンレベルが低く,内因性マウスアディポネクチンレベルが有意に高かった。活性酸素種によるDNA障害の指標となる8-OHdG濃度を尿中で測定したところ,高脂肪/高蔗糖餌で飼育した野生型マウスでは8-OHdG排泄が増加していたが,アディポネクチントランスジェニックマウスにおいては高脂肪/高蔗糖餌による8-OHdG排泄増加が有意に抑制されていた。 次に,肥満をともなう糖尿病を自然発症するKK-A^yマウスに,アディポネクチン高発現系のトランスジェニックを繰り返しバッククロスすることにより,ヒトアディポネクチンを肝において高発現するKK-A^yマウスを作成した。このマウスは通常のKK-A^yマウスより酸素消費量が多く,体重が軽い傾向を示した。また,空腹時血糖値には差がなかったが,グルコース負荷後の血糖値が低く,インスリン腹腔内負荷に対する血糖低下反応も良好であった。すなわち,高脂肪/高蔗糖餌による肥満マウスにおいてみられたのと同様の効果が,通常飼料下のKK-A^yマウスにおいても再現され,慢性的高アディポネクチン血症の抗メタボリックシンドローム作用が確認された。
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