1)ヒト乳癌MCF7細胞において、活性型ビタミンDのみならず、エストロゲン、アンドロゲン、デキサメサゾン、甲状腺ホルモンさらにプロゲステロンもまた、いずれも10nMの濃度で内因性のPTHrP遺伝子の発現を40〜60%抑制した。ホルモン投与後、恒常的にnVDREに集積してくるDNA-PKcsと違い、nVDRE領域を含むクロマチンへのHDAC2の動員は、45-60分を周期とするサイクリックなものであり、この動員はヒストンアセチル化と鏡像関係にあった。 2)同様のChlPアッセイにおいて、それぞれのNRのnVDREクロマチン部への動員はホルモン依存的で、やはりサイクリックなパターンをとっていた。 3)MCF-7細胞への、DNA-PKまたは、PI3Kサブユニットp105βに対するSiRNAの導入によるこれらの遺伝子転写発現は、いずれも70〜90%抑制された。そこで、MCF-7細胞におけるPTHrP遺伝子の各ホルモンによる転写抑制に与えるSiRNAの効果を調べたところ、PNA-PKのSiRNA導入ではこの転写抑制がほとんど解除されたのに対して、PI3Kサブユニットp105βのSiRNA導入では有意な変化が見られなかった。 4)IP-ウェスタン法によって、上記の結果から予想される各NRと、DNA-PKcsおよびp70、p86から構成されるKu抗原とのホルモン依存的な結合を調べた。各ホルモン投与6時間後にMCF7細胞から抽出した核タンパクを各NRまたは、DNA-PKcs/Ku抗原で免疫沈降させSDS-PAGE後ブロットしたものを、逆の組み合わせの抗体で検出したところ、各NRと、DNA-PKcsおよびp70、p86から構成されるKu抗原とは、いずれもホルモン投与によって両者間の結合が著明に増強することがわかった。
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