研究課題
培養血管内皮細胞(EC)におけるTNFα誘導性炎症性遺伝子(IL-6・VCAM-1)の発現に対するデキサメサゾン(Dex)の作用とこれら炎症性遺伝子の転写抑制作用に必要なDexの用量に対するGRの発現量および転写共役因子CBPの発現量の効果について解析した。その結果、高濃度(【greater than or equal】100nM)のDexは、ECにおけるIL-6遺伝子の転写活性を抑制したが、VCAM-1遺伝子の転写活性を抑制しないことが判明した。しかし、GR発現ベクターを導入しGRを高発現させたECでは、DexはIL-6遺伝子のプロモーター活性のみならずVCAM-1遺伝子のプロモーター活性に対しても抑制作用を示した。IL-6、VCAM-1遺伝子の転写活性抑制に必要なDexの用量はGR低発現ECに比してGR高発現ECで減少した。さらに、CBP発現ベクターを導入したECにおいてもより少量のリガンドでこれら炎症性遺伝子の転写活性を抑制し得ることも確認された。この現象は、次のようなモデルで説明できよう。すなわち、GR低発現細胞では炎症性転写因子の活性を十分に抑制することができないが、GR高発現細胞では同じ用量のDexであってもより多くのGRがDexと結合し活性型となるため炎症性転写因子の活性を十分に抑制できる、というモデルである。このように、核内受容体と転写共役因子の発現量が、核内受容体による炎症性遺伝子の発現抑制作用を発揮するリガンドの用量を規定することをはじめて明らかにした。今後は、少量のステロイド薬で十分な抗炎症作用を発揮させる目的で、炎症担当細胞のGRやCBPの発現量を増加させる薬剤の開発を目指したい。
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