1.デキサメタゾン(DEX)によるIL-11遺伝子遺伝子転写抑制機序の解析 DEXは骨芽細胞系細胞においてIL-11遺伝子の転写を強力に抑制した。この抑制はIL-11遺伝子プロモーター上のAP-1結合部位に変異を導入すると消失したことから、AP-1依存性であることが明らかとなった。逆にtandemのIL-11AP-1結合領域による転写活性もDEXで抑制された。さらにDEXの転写抑制効果はGR(グルココルチコイド受容体)アンタゴニストであるRU-486により解除されたことから、GR依存性であることが示唆された。 2.IL-11の抗アポトーシス作用の解析 初代培養骨芽細胞およびマウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1において、DEXおよび抗腫瘍薬であるEtoposideはアポトーシスを誘導したが、IL-11はこれを用量依存性に最大50%抑制した。PTH処理によりIL-11とほぼ同等のアポトーシス抑制が認められた。DEXによるアポトーシスの際、アポトーシス阻害因子であるbc1-2の発現が低下していたが、PTHおよびIL-11はこの発現低下を抑制した。PTHの抗アポトーシス効果はIL-11中和抗体の同時添加により減弱したことから、少なくとも一部はIL-11の誘導を介していることが示唆された。 以上よりIL-11は転写レベルでPTHにより誘導、DEXで抑制される抗骨芽細胞アポトーシス因子であり、ステロイド骨粗鬆症における骨形成抑制の病態およびPTHによるその抑制に関与することが明らかとなった。IL-11はステロイド骨粗鬆症治療薬創薬における新たな標的分子の一つであると考えられる。
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