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2005 年度 実績報告書

造血幹細胞制御におけるWnt蛋白の役割

研究課題

研究課題/領域番号 16590925
研究機関東京大学

研究代表者

依馬 秀夫  東京大学, 医科学研究所, 産学官連携研究員(特任助教授) (50344445)

キーワード造血幹細胞 / 自己複製 / シグナル伝達 / Wnt / β-catenin / stem cell factor / thrombopoietin / Lnk
研究概要

造血幹細胞の運命の選択肢には自己複製、分化、アポトーシス等がある。しかし、これを制御する機構についてはよくわかっていなかった。生体内では造血幹細胞は特有なnicheに存在して細胞外因子の刺激を受けたり、逆に刺激を受けないように保護されている。一部を除いてこれらのniche因子は特定されていなかったため、われわれは造血幹細胞の細胞外制御因子の同定を試みた。そして、positive regulatorとしてSCF(Stem Cell Factor)とTPO(thrombopoietin)が、negative regulatorとしてTGF(Transforming Growth Factor)β1が重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。Wntファミリーに属する分泌因子も重要な候補であるが、これらはむしろ造血幹細胞の発生過程において重要な働きをしていることが考えられた。次に、われわれは造血幹細胞の運命決定に関与する細胞内因子を明らかにするため、免疫染色と共焦点顕微鏡およびLSC(Laser Scanning Cytometry)を組み合わせ、ごく少数しか存在しない正常細胞におけるシグナル伝達系解析を可能にする手法を独自に開発した。そして、Lnk欠損マウスの解析を通して、TPOシグナルは自己複製分裂の確率に関与することを明らにした。特に、Jak/STATとAktの伝達経路の活性化とP38MAPキナーゼの不活性というシグナルの組み合わせが自己複製に重要であることが示唆された。また、一方ではWntの主要なシグナル伝達分子のひとつであるβ-cateninがTPOシグナルの下流にあることを明らかにした。この分子の役割については現在検討中である。造血幹細胞に対するWnt蛋白の直接作用については、蛋白精製が困難であったため、残念ながら明らかにすることはできなかった。しかし、少なくともある程度まで濃縮したWnt蛋白には造血幹細胞の分裂を誘導する作用がないこと、活性型β-cateninを造血幹細胞に強制発現しても、やはり造血幹細胞の分裂を誘導できなかったことから、Wnt3a蛋白が造血幹細胞の自己複製因子であるとの報告に対しては注意深い検討が必要であると考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Quantification of self-renewal capacity in single hematopoietic stem cells from normal and Lnk-deficient mice2005

    • 著者名/発表者名
      Ema H et al.
    • 雑誌名

      Dev Cell 8

      ページ: 907-914

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Endomucin, a CD34-like sialomucin, marks hematopoietic stem cells throughout development2005

    • 著者名/発表者名
      Matsubara A et al.
    • 雑誌名

      J Exp Med 203

      ページ: 1483-1492

  • [図書] Isolation of murine stem and progenitor cells in Current Protocols in Immunology2005

    • 著者名/発表者名
      Ema H et al.
    • 総ページ数
      13
    • 出版者
      John Wiley & Sons, Inc.

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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