研究概要 |
本年度は日米で承認された血液悪性疾患に対する薬剤の承認根拠の比較による日本の問題点の検討のデータベースを完成させた後、問題点を解析し米国血液学会にて報告した。すなわち、米国においてはトランスレーショナルリサーチの成果とも言える新規治療概念に基づく薬剤はAccelerated Approvalの適応によってより早く承認されるようになっている。また、pivotal studyの施行された地域が米国内に偏っていることは米国内の開発力の向上を反映しているものと考えられる。日本での承認は不適切な評価項目が使用されていたケースが目立ち、臨床試験の初期段階から適切なエンドポイントの設定が必要とされる。また、同族体の開発・承認が目立ち、新規治療法の薬剤の国内開発力の弱さが裏打ちされた。これにより、新規血液悪性疾患に対する第一相試験のデザインを考案した。すなわち、用量漸増法を採用する場合には2段階で1log増加する。通常はhalf-log incrementとするが、抗体の場合にはx5,x2を採用する。patient cohortsはthree patient cohortsを原則的に用いる。stopping ruleとして毒性を基にした従来の方法の他に、当該の治療方法が生物的に反応を示す、あるいは検出される指標を定め、次善のtarget pointとして検討する。上記のマーカーがサロゲート・エンドポイントとして活用できるか否かを早期に確定するための検討を平行して行なう。これにより、新たに対応が可能となったと考えられる。
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