研究概要 |
日米で承認された血液悪性疾患に対する薬剤の承認根拠の比較により下記の結論が得られた。(1)日米で共通承認された27品目のうち、米国で早く承認された薬剤は22品目、平均約46ヶ月ほど早く、その差は短縮していない。(2)日本での適応症は分類が詳細になされていない。(3)日本では不適切な評価項目が使用されている例が多い。(4)米国ではAccelerated Approvalによる承認が1999年以降急増しており、特に1999年以降米国のみで承認された11品目のうち8品目にのぼっていた。(5)Accelerated Approvalによる承認薬剤は大半が分子標的薬などTRに属する開発薬剤と考えられた。(6)米国での承認根拠となった臨床試験は他の抗癌剤と比して米国内のみで行われ試験が多く、Accelerated Approvalによる早期承認を反映していると考えられた。(7)日本国内のみで承認された抗腫瘍薬は同族体に属する薬剤か、米国内では他の適応で承認されている薬剤が大半であり、新規治療概念に属する薬剤は認めなかった。(8)pivotal studyの被験者数を比較すると日本は米国の十分の一から二分の一であり、比較的少人数での検討が行なわれている。この問題点と、最近の第一相試験の試験デザインを考慮して、血液悪性疾患に対する第一相試験の新規デザインを創出した。これは(1)用量漸増法に関しては2段階で1log増加するhalf-log incrementとするが、抗体の場合にはx5,x2を採用する。単一用量デザインはなるべく採用せず用量漸増により生物学的活性の有無を検討する。(2)patient cohortsはthree patient cohortsとして、生物学的応答の検索が容易とする。(3)stopping ruleは毒性を基にした従来の方法の他に、当該の治療方法が生物的に反応を示す、あるいは検出される等の指標を定め、target pointとして検討できるものとする。これにより、新規概念の治療法に対してほぼ対応が可能と考えられる。
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