ATノックアウトマウスとLow TFマウスの交配 病理組織学的解析 我々は既に、Scripps研究所N.Mackman博士より供与されたLow TFマウスと我々がすでに作成したATノックアウトマウスの交配を進めていた。これはヒトTF minigeno(以下hTF)をマウスTFノックアウトマウス(早期に致死性)にtransgeneとして打ち込んで作成されたものである。以下Low TFマウスと称するこのマウスは約1%のTF活性しか持たず、出生後メジャーな出血症状のため死亡するものもあるが、解剖学的に正常な個体を誕生させることが出来る。現在2段階の交配を続けて最終的にAT^<+/->mTF^<-/->hTF^<+/0>とAT^<+/->mTF^<+/->hTF^<+/0>との交配により得られたマウス胎児のジェノタイピングと生存胎児の比率について検討を加えている。AT^<+/->mTF^<+/->hTF^<+/0>、AT^<+/->mTF^<-/->hTF^<+/0>、AT^<+/+>mTF^<+/->hTF^<+/0>、AT^<+/+>mTF^<-/->hTF^<+/0>はメンデルの法則に従いほぼ正常に誕生するのに対し、AT^<-/->mTF^<+/->hTF^<+/0>、AT^<-/->mTF^<-/->hTF^<+/0>の二つのジェノタイプは胎性18.5-19.5までは生存を確認できたが、1匹も生児を得ていない。現在病理学的な変化を免疫染色等を用いて観察中であるが、この結果はAT欠乏マウスの向血栓性が凝固反応のinitiatorであるTFを最小限に欠失させても血栓症による胎児性致死をrescueできないことを示しており興味深い。AT^<-/->mTF^<+/->hTF^<+/0>、AT^<-/->mTF^<-/->hTF^<+/0>は明らかにAT^<-/->mTF^<+/+>に比べて子宮内生存期間は延長しており、何らかの形で血栓症が軽減している可能性がある。本研究の一部は本年度の米国血液学会総会のSimultaneous sessionにおいて発表され、好評を博した。
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