研究課題/領域番号 |
16590939
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北島 健二 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教授(常勤) (10346132)
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研究分担者 |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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キーワード | ES細胞 / 血液 / 転写因子 / 細胞分化 / 赤血球 / 巨核球 / マクロファージ / クロマチン構造 |
研究概要 |
我々は、マウス胚性幹細胞から血液細胞への試験管内分化誘導システム(OP9システム)を用いて、転写因子GATA-2の機能解析をおこなってきた。我々は、GATA-2の発現をコントロールできるES細胞株を用いて、GATA-2は、マクロファージから巨核球への分化転換能を有することを見出した。マクロファージの分化に必須である転写調節タンパクPU.1遺伝子の発現は分化誘導開始から6日目に上昇する。GATA-2を分化誘導5日目から発現させるとPU.1の発現上昇は観察されなかった。一方、分化誘導6日目からGATA-2発現させると、PU.1の発現は持続したままであり、赤血球が増加することが明らかとなった。このことから、GATA-2による巨核球への分化転換にはPU.1の発現抑制が関係している可能性を考え、PU.1とGATA-2の共発現実験を行った。その結果、GATA-2による巨核球への分化転換は、PU.1により阻害され、赤血球へ分化した。さらに、GATA-2によるPU.1遺伝子の発現抑制のメカニズムの解析を行った。その結果、GATA-2タンパクは、PU.1遺伝子プロモーターに結合し、ヒストンのアセチル化を抑制することが明らかとなった。PU.1タンパクは、GATA-2タンパクと複合体を形成する。以上の結果から、PU.1は、GATA-2による細胞分化の決定を制御していること、および、細胞分化に伴うクロマチン構造の変化により、GATA-2が制御できる遺伝子が変化すること、が明らかとなった。以上の内容は論文として報告し、受理された。(Kitajima K et al.Redirecting differentiation of hematopoietic progenitors by a transcription factor GATA-2.Blood in press.)
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