研究課題/領域番号 |
16590945
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
長井 一浩 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30304942)
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研究分担者 |
對馬 秀樹 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70359959)
宮崎 泰司 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40304943)
朝長 万左男 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40100854)
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キーワード | side population cell / bone marrow / stem cell / hematopoiesis / myelodysplastic syndrome / aplastic anemia / paroxysmal nocturnal hemoglobinemia |
研究概要 |
昨年度に続き、骨髄異型性症候群(MDS)、再生不良性貧血(AA)、および発作性夜間血色素尿症(PNH)の臨床症例の骨髄検体より得られた骨髄単核球中のSP細胞を定量解析している。対象は現在までのところ、MDS 17症例、AA 6症例、PNH 2例の解析を実施している。その結果、骨髄単核球中のSP細胞画分比率は、MDS 0〜3.11%、AA 0〜0.02%、PNH 0〜1.07%であった。MDSおよびAAに対して免疫抑制療法を実施しているそれぞれ2症例ずつを対象として、血液学的な改善と共に経時的なSP細胞比率の変化を検討中である。 一方、SP細胞画分描出の責任分子と考えられるABCG2の発現解析を、同様の検体を用いて進めている。健常人骨髄では、骨髄単核球中0.14〜1.68%であったのに対しMDS検体では0〜3.94%と多様性があり、SP細胞の比率と比較しても健常人、MDS症例共に大部分がオーバーラップしていることが明らかになった。MDSの臨床的進行度すなわちより白血病への進展傾向が強い病型においてABCG2発現比率が高い傾向が認められた。 さらに、もうひとつの幹細胞マーカーとしてCD133分子の発現も同時検討しているが、CD133陽性細胞画分の一部が非SP細胞画分にも認められることから、実際にMDSの病態を形成している幹細胞が、機能的にも多様かつダイナミックな集団を形成している可能性が示唆された。現在、先に述べた臨床検体のうち、染色体異常(-7,+8,5q-,12q-等)を有する症例由来のものについて、上記の可能性を検証するために、各細胞画分における異常クローンの存在を、それぞれの染色体異常を検出しうるプローブを用いたFISH法によって解析中である。また、当初より予定していた、症例から得られたSP細胞画分のin vitro長期培養系およびin vivoのxenotransplantation系を用いた機能解析についても解析進行中である。 さらに、MDSの病的幹細胞の特性をより明らかにするためのアプローチとして、MDSに対する新規治療薬lenalidomideのSP細胞画分に対する作用についても、上記培養系等を用いて検討を開始した。
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