研究課題
基盤研究(C)
MUM1(muptiple myeloma oncogene 1)/IRF4(interferon regulatory factor 4)は、多発性骨髄腫細胞に見られるt(6;14)(p25;q32)転座の結果活性化される転写制御因子をコードする遺伝子である。MUM1発現は種々のB細胞性リンパ腫において認められ一般に予後不良病型と関連している。本研究はB細胞性腫瘍におけるMUM1発現の意義を検討する目的でMUM1の下流にある転写標的遺伝子を同定し腫瘍化に関与する新たな治療標的分子を同定する事にある。マウスの前駆B細胞株であるBa/F3にMUM1を強制発現させた細胞株とコントロール細胞とのcDNAアレイによる比較からMUM1によって転写活性化される遺伝子としてMIG,FKBP3,Faim遺伝子を同定した。またMUM1により転写抑制を受ける遺伝子としてZFP94を同定した。我々はMIG遺伝子に注目しMUM1がPU.1とともにMIG遺伝子プロモーター配列に直接結合しMIG遺伝子発現を誘導している事を証明した。またB細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)およびB細胞性瀰漫性大細胞型リンパ腫(DLBCL)においてはMUM1を強発現している細胞において特異的にIG発現が認められることを示した。さらに興味深いことにB-CLL細胞株ではMUM1発現株はMIGとともにその受容体であるCXCRを恒常的に発現している事、そしてMIG-CXCR3系がオートクライン機構を成して細胞増殖を促進していることを見いだした。すなわち抗CXCR3中和抗体がB-CLL幹細胞の増殖抑制に有用である可能性を示した。またAffymetrix社の遺伝子チップとMUM1発現誘導可能なコンストラクトを用いてバーキットリンパ腫由来のP3HR-1細胞において新たにMUM1により転写活性化される遺伝子、また転写抑制される遺伝子をそれぞれ44遺伝子、22遺伝子見いだしそれらのB細胞腫瘍化に関与した機能解析に焦点を当てて解析を進めている。また同時に予後不良病型を形成する骨髄腫細胞において染色体転座で活性化されているc-Maf/MafBなどのlarge Maf転写因子の標的遺伝子としてArk5遺伝子を同様の方法で見いだし、腫瘍の浸潤能と関連していること、そしてグルコース飢餓やdeath receptorを介した細胞死に対する抵抗性獲得に関与している事を見いだした。すなわちArk5分子自体が新たな治療標的分子になりえる事も明らかにした。
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