慢性肉芽腫症(CGD)に対する遺伝子治療臨床応用に向けた技術開発 1.遺伝子導入用ベクターの構築 ヒトgp91phox遺伝子を選択的増幅遺伝子(SAG)システム搭載のレトロウイルスベクターに組み込み、まずマウス造血幹細胞を標的に遺伝子導入実験を行った。導入効率は、ほぼ50%以上を安定して到達し、かつin vitroで活性酸素産生(導入遺伝子の発現)が確認され、ベクターシステムがワークすることが確認できた。 2.遺伝子導入細胞の移植実験 1)移植前処置のない条件の検討 前処置なしの条件で、尾静脈注入移植(IV-BMT)で行う群と骨髄内移植(iBMT)で行う群で、生着効率を比較検討した。それぞれ、5匹のマウスで行ったが、両群とも生着が確認できなかった。前処置なしでの移植は、今回の実験系では困難であることがわかった。 2)移植前処置として放射線照射を行う検討 2Gyと4Gyの2群の非破壊的骨髄照射を行ったのちに、遺伝子導入細胞の移植を行った。このときもIV-BMTとiBMTの2群に分けて比較検討を行った。この結果、いずれの群でも生着は確認でき、2Gyの弱い照射の群でかつiBMTの群で生着効率、および活性酸素産生率(40-70%)で高い値を示した。 現在、移植後のマウスに関して、安全性の検討を行っているところである。
|