研究概要 |
肺局所のTH1,TH2バランスの制御は、各種炎症性肺疾患の発症、経過、治療の上で極めて重要である。我々は、M・の細胞内酸化・還元状態、特に還元型(GSH)と酸化型(GSSG)グルタチオンのバランス(GSH/GSSG比)によりM・からのTh1サイトカインであるIL-12産生が制御され、その結果TH1・TH2サイトカイン産生が調節されているという報告をおこなってきた。今回、Todokoroの論文において、気道上皮細胞を用いた実験で、オゾンの暴露は、気道上皮内のグルタチオンレドックス状態を一過性に酸化状態に傾け、IL-6とIL-8の産生を増加させた。還元剤GSH-OEの前処置を施すことにより、オゾン暴露があっても、細胞内レドックス状態は、還元状態に保たれ、そうすることにより、IL-6とIL-8の産生を抑制することができた。このことは、マクロファージのみならず、気道上皮においても、細胞内グルタチオンレドックスが、サイトカイン産生に影響を与えていることを示した。Aiharaの論文では、喘息患者の末梢血T細胞からの、コンカナバリンA刺激によるIL-4とIFN-γの産生は、Rhoキナーゼ阻害剤により抑制されるが、正常人にくらべ、その抑制が少ないことを示した。さらに、8〜10週齢のマウスを卵白アルブミンにて感作し、第28日より3日連日して卵白アルブミン溶解液を吸入させ喘息症状を発症させる系において、還元剤を、卵白アルブミン溶解液を吸入する3日前より第30日まで連日マウスに腹腔内注射をすることにより、還元剤投与による喘息発作抑制作用を、生理食塩水を腹腔内注射したコントロール群と比較検討したところ、有意に喘息発作が抑制されることが示された。
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