研究課題
基盤研究(C)
肺局所のTh1,Th2バランスの制御は、各種肺疾患の発症、経過、治療の上で極めて重要である。我々は、MΦ細胞内の還元型と酸化型グルタチオンの量的バランスにより、MΦからのIL-12産生が制御され、その結果Th1・Th2サイトカイン産生が調節されることを報告してきた。今回、平成16年度は、Todokoroの論文にて、オゾン暴露は、気道上皮細胞内のグルタチオンレドックス状態を一過性に酸化状態に傾け、IL-6とIL-8の産生を増加させ、還元剤GSH-OEの前処置により、オゾン暴露があっても、細胞内を、還元状態に保つことにより、IL-6とIL-8の産生を抑制できることを報告した。このことは、気道上皮も、細胞内グルタチオンレドックスが、サイトカイン産生に影響を与えていることを示した。Aiharaの論文では、喘息患者の末梢血T細胞からの、コンカナバリンA刺激によるIL-4とIFN-γの産生は、Rhoキナーゼ阻害剤により抑制されるが、正常人にくらべ、その抑制が少ないことを示した。平成17年度は、RSウイルスのMΦへの感染は、MΦ内グルタチオンレドックス系を酸化状態に変え、それが持続的に続くことを見出した。感染によりIL-12も産生されるが、RSウイルス感染後48時間以上のちにピークを迎えるという極めて特異的なタイムコースをとることを見出し、第55回日本アレリギー学会で小野が報告した。さらに、卵白アルブミン感作マウス喘息モデルにおいて、グルタチオンの前躯体を投与すると、気道過敏性が抑制され、Th2サイトカインの産生も抑制された。この結果を、現在、論文投稿中であるり、レドックス制御によるアレルギー疾患の治療という新しい治療法の開発につながる。Kawataの論文では、スフィンゴシンが、平滑筋の遊走や平滑筋からのRANTES産生を抑制するという新しい知見を得たので論文に発表した。
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