研究概要 |
Rwepiratory syncytial virus(RSV)FタンパクはTLR4およびCD14を介して認識され、Th1型の免疫反応が誘導されることが知られている。したがってTLR4、CD14の発現および機能の低下はRSV感染時のTh1反応の誘導不全をきたし、RSV細気管支炎の発症および細気管支炎後の反復性喘鳴および喘息発症に関する可能性がある。本研究において以下に示す結果を得た。 1)RSV細気管支炎とTLR4、CD14遺伝子多型の関係について解析した。出生体重2500g以下、先天性疾患を有するもの、RSV感染以前に反復する喘鳴を有するものは除外し、RSV細気管支炎患者として54名を対象とした。喘鳴の既往のない小学生児童203名を対照とした。細気管支炎、対照ともRSV細気管支炎との関連が海外で報告されたTLR4遺伝子多型は存在しなかった。RSV細CD14C(159)多型に有意な関係はなかった。一方、RSV細気管支炎患者は対照健康児と比べ、CD14C(-550)T多型において、有意にCCの割合(CCvsCT+TT, p=0.012, OR2.26(95%CI1.19-4.31)およびCアリルの割合(p=0.034, OR 1.78(95%CI 1.04-3.07)が高かった。 2)臍帯血、6歳児の血清中可溶性CD14(sCD14)分子濃度とCD14C(-550)T多型の関連を検討した。その結果、CCではCT+TTに対し、臍帯血(p=0.037)、6歳児(p=0.037)と共に血清sCD14分子濃度が高値であった。ヒト単球細胞株THP-1からのLSP刺激によるTNFα産生量はsCD14の濃度依存的に増強された。以上から、CD14C(-550)遺伝子多型はsCD14濃度に関連し、RSV感染時のTNFα産生量を遺伝的に規定することによりRSV細気管支炎発症の遺伝因子の一つであることが示唆された。 3)TLR2,TLR4ノックアウトマウス腹腔マクロファージを用いた実験ではRSV認識におけるTLR2の関与は認められなかった。
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