研究概要 |
喘息などのアレルギー性疾患に対する遺伝子免疫療法に用いるために、リバースジェネティクスを駆使し、マウスインターロイキン4(mIL-4)ならびにそのアンタゴニスト(mIL-4a)を挿入したパラインフルエンザ2型ウイルス[rPIV2(mIL-4),rPIV2(mIL4-a)]を作製した。 これらのウイルスは、培養細胞において親株であるrPIV2とほぼ同じ増殖傾向を示し、VeroならびにBHK細胞での増殖能が高く[感染(m.o.i.3)後48時間で2x10^7(TCID_<50>/ml)]、それらの感染細胞の培養上清中のmIL-4およびmIL-4aの発現量は、3〜5(μg/ml)と極めて高い値を示した。また、L929細胞では、ウイルス増殖がほとんどないにもかかわらず50〜70(ng/ml)の発現がみられた。 ウイルスベクターの安全性の確認のためmIL-4のウイルス増殖への影響を調べた。乳のみハムスター及びマウスの肺におけるウイルス増殖についてReal-time PCRによるウイルスゲノム数とTCID_<50>による感染性粒子のタイターを比較した。ハムスターにおいては、いずれのウイルスもウイルス接種(1x10^7TCID_<50>)後、2日目から6日目にかけて10^8コピー程度のウイルスゲノムが認められ8日目では著しく減少した。また、感染性ウイルス粒子数も、感染後2〜4日目[1x10^6(TCID_<50>/ml)]をピークとし8日目にはほとんど認められなくなった。一方、マウスにおいては、感染性ウイルス粒子はほとんど認められないにもかかわらず、感染後2日目から10日目くらいまで10^6-10^7コピー程度のウイルスゲノムおよびmRNAが存在し、マウスにおいては、defective virus vectorとして機能している可能性が示唆された。現在、OVA誘発喘息モデルマウスを用いて、これらのウイルスベクターによる遺伝子免疫療法の検討を行っている。
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