研究課題
気道粘膜に特異的に感染し、病原性のほとんど認められないパラインフルエンザ2型ウイルス(PIV2)に、Th1/Th2バランスに関与するサイトカインであるマウスインターロイキン4(IL-4)ならびにそのアンタゴニストを挿入したリコンビナントウイルスを作製し、マウスにおけるin vivoでのウイルス増殖ならびに病原性へのIL-4の影響について検討した。さらにそれらのウイルスベクターを用いて、OVA誘発による喘息モデルマウスにおける遺伝子免疫治療効果の検討を行った。生体内のIL-4の発現の抑制によりPIV2のレプリケーションが促進し、一方、生体内のIL-4の発現が増加するとウイルスのレプリケーションが抑制されることから、PIV2のレプリケーションとIL-4の発現量には負の相関関係が成立し、IL-4によるPIV2レプリケーションの抑制が示唆された。また、IL-4アンタゴニストを挿入したPIV2において、生体内のIL-4産生の抑制効果が認められ、さらにウイルスのレプリケーション効率が増大したにもかかわらず、マウスの肺の炎症性には明らかな差がなかったことから、Th2優位のアレルギー性疾患である喘息等への遺伝子免疫治療用ベクターとしての有用性が示唆された。そこで、上記の喘息モデルマウスを用いてその予防・治療効果について、マウスの肺胞洗浄液中の全細胞数ならびに全蛋白量を指標に検討した。Th1移行性を示すIL-4アンタゴニストを挿入したPIV2ベクターを接種したマウスにおいては、コントロールと比較して上記の両指標が約50%程度に抑えられており、このIL-4アンタゴニストを挿入したPIV2を用い、Th1/Th2バランスの是正による新規の遺伝子免疫療法の有用な効果が示唆された。
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Med Microbiol Immunol. (in press)
Virology. (in press)
J Orthop Res. 23・5
ページ: 978-987