研究課題
我々は疾患特異的に作用する新規免疫制御戦略を確立するため、免疫制御性遺伝子を発現する抗原特異的CD4+ T細胞を用いた細胞移入療法の可能性についてtype IIコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルマウスを用いて検討した。Type IIコラーゲンで免疫したマウスの所属リンパ節および脾臓から調整したCD4+ T細胞に、活性型TGF-beta発現レトロウイルスを感染後、関節炎誘導後5-10日目に1回のみマウス腹腔内に細胞移入することにより、関節炎の発症はほぼ完全に抑制された。IL-10発現CD4+ T細胞移入でも関節炎抑制効果を認めたが、活性型TGF-beta発現CD4+ T細胞移入に比べ、その効果の持続性において劣る傾向を認めた。また潜在型TGF-beta発現CD4+ T細胞移入によるCIA発症抑制効果は認められなかった。次に、in-vitroでtype IIコラーゲンによる抗原刺激を繰り返して、よりtype IIコラーゲン特異的なCD4+ T細胞株を作成した後に、活性型TGF-betaを発現させCIAマウス腹腔内に細胞移入にしたところ、より少数の細胞移入でCIA抑制効果を認めた。さらには関節炎誘導後56日目という関節炎が極期に達しているマウス腹腔内に同様に調整した活性型TGF-beta発現type IIコラーゲン特異的CD4+ T細胞株を移入したところ、明らかな関節腫脹の軽減という治療効果を認めた。関節リウマチ患者においてもtype IIコラーゲンに対する自己抗体、およびそれに反応する特異的CD4+ T細胞の存在が報告されており、type IIコラーゲンを含め罹患関節局所で提示されている特異的な抗原に対する特異的CD4+ T細胞を樹立できれば、本方法を臨床応用する事は不可能ではないと考えられた。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (10件)
J Exp Med. 203(3)
ページ: 755-766
J Gastroenterol. 41(1)
ページ: 1-9
J Endocrinol. 188(2)
ページ: 333-344
Eur J Pediatr. 14
ページ: 1-5
Nippon Rinsho 63 Suppl 11
ページ: 150-155
Scand J Gastroenterol 40(6)
ページ: 641-647
Inflamm Bowel Dis. 11(6)
ページ: 541-550
Arthritis Rheum. 52(11)
ページ: 3579-3585
J Dermatol Sci. 39(2)
ページ: 71-80
J Allergy Clin Immunol. 115(3)
ページ: 636-638