研究課題/領域番号 |
16590982
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山村 昌弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80252956)
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研究分担者 |
大塚 文男 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40362967)
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キーワード | 関節リウマチ / 単球・マクロファージ / Toll様受容体(TLR) / TLR2 / TLR4 / CD16 / 腫瘍壊死因子(TNF-α) / 熱ショック蛋白(Hsp60) |
研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)滑膜病変部で活性化されたマクワファージは、腫瘍壊死因子(TNF-α)などの炎症性サイトカインを産生し、慢性炎症と関節破壊に関与する。Toll様受容体(Toll-like receptor ; TLR)は、マクロファージや樹状細胞が多様な病原体を認識し、炎症性サイトカイン、補助機能分子などの発現を誘導する重要な受容体である。近年、TLR-2やTLR4が壊死細胞、熱ショック蛋白(Hsp)、低分子ヒアルロン酸、フィブロネクチン分解産物など内因性物質を認識し、生体内を監視する機能をもつことが示唆されている。本研究の目的は、RA滑膜のマクロファージの持続的活性化および炎症性分子発現におけるTLR-2およびTLR-4の役割を解明することである。 RA末梢血にはCD16を発現する単球が増加し、これらCD16+単球は接着因子やケモカイン受容体とともに、TLR-2とTLR-4を強く発現していた。RA滑膜組織では、CD16発現細胞は表層に局在し、TLR-2を強く発現していた。TLR-2の誘導には、M-CSFとIL-10が重要であった。リポテイコ酸(LTA)の刺激により、接着性マクロファージ(50%以上がCD16陽性)はTNF-α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-12p40、IL-1受容体拮抗物質(IL1Ra)、IL-10など多様なサイトカインを産生し、この反応は主に抗TLR-2抗体により阻害された。また、免疫応答補助分子であるCD80とCD86も誘導した。LTAによるTNF-α産生は、III型Fcγ受容体(CD16)を抗体結合による活性化により増強された。内因的TLRリガンドであるHsp60、ヒアルロン酸、フィブロネクチンのうち、Hsp60がマクロファージのTNF-α産生を有意に誘導し、抗TLR-2抗体と抗TLR-4抗体により部分的に阻害された。LTAは転写因子NF-κBを強く活性した。以上より、RA滑膜の分化型CD16+マクロファージはHsp60などの内因的リガンドによりTLRを介して活性化されている可能性が示唆された。
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