研究課題
基盤研究(C)
関節リウマチ(RA)滑膜病変部ではマクロファージの自律的な活性化を認め、その炎症性サイトカインや細胞表面分子の発現亢進は慢性炎症と関節破壊に密接に関与することが明らかにされてきた。Toll様受容体(Toll-like receptor ; TLR)は、マクロファージや樹状細胞が多様な病原体を認識し、炎症性サイトカイン、副刺激分子などの発現を介して感染防御反応を誘導する重要な受容体ファミリーである。近年、TLR2とTLR4が壊死細胞、熱ショック蛋白(Hsp)、低分子ピアルロン酸、フィプロネクチン分解産物などの内因性分子を認識することが報告されている。本研究では、RA滑膜のマクロファージの持続的活性化におけるTLRの役割を検討した。RA末梢血にはIII型Fcγ受容体(CD16)を発現する単球が増加している。これらCD16+単球サブセットはTLR2を強く発現しており、滑膜表層の炎症性マクロフ1アージにはCD16とTLR2の発現が亢進していることを明らかにした。TLR2リガンドはCD16+単球の転写因子NF-κBおよびp38 MAPキナーゼの活性化を誘導し、腫瘍壊死因子(TNF-α)などの炎症性サイトカインやCD80やCD86の副刺激分子の発現を増強した。さらに、TLR2発現増強におけるM-CSFとIL-10の重要性、およびHsp60のRA関節内における内因性TLRリガンドとしての可能性を示した。以上の結果から、TLR2がRA滑膜に浸潤したCD16+単球の炎症性マクロファージへの機能的分化に関与していることが推察された。さらに、RA滑膜マクロファージではマルチリガンド受容体RAGE(receptor for advanced glycation endproducts)の発現が増強されていることを示し、慢性期の滑膜マクロファージの自律的な活性化には、炎症性サイトカイン以外にTLRやRAGEなどのNF-κB活性化能を有する多様な受容体システムが関与し、病態を複雑化させる原因となっていることが示唆された。
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