これまで申請者らはSLE患者末梢血T細胞(PBT)では、TCRζ鎖(ζ鎖)mRNAスプライス・ヴァリアントが優位に発現されるためにζ鎖発現が低下することを報告し、その結果TCR/CD3複合体発現低下のみならず、シンデカン(Sdc)など他の分子の発現低下あるいは亢進を二次的に惹起させることも報告してきた(J.Immunol.176:2006)。昨年度申請者らは、SLE患者末梢血リンパ球(PBT)におけるこれらSdc分子発現を検討したところ、SLEPBTでは健常人と比較してHS糖鎖修飾をうけたSdc4発現が低下していることを報告した。そこで本年度は、Sdc4のコアタンパクに、HS糖鎖の一部であるN-アセチルグルコサミンを結合させるexostosin-like 2(EXTL2)酵素発現をSLE患者PBTにおいて検討した。抗EXTL2抗体を用いたwestern blotで検討した結果、HS糖鎖修飾Sdc4発現が低下していたSLE患者8例ではEXTL2発現が低下しており、これがSLEの病態形成に関与する可能性が示唆された。
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