研究概要 |
抗PCNAマウスモノクローナル抗体(TOB7)を用いたアフィニティーカラムで、ウサギ胸腺アセトンパウダーPBS抽出液を抗原源としてPCNA蛋白複合体を精製し、さらにNycodenz density gradientで分画した。その各分画を抗PCNAモノクローナル抗体に加え、細胞増殖に関与する各種蛋白に対するモノクローナル抗体、さらにプロテアソームの各成分に対するモノクローナル抗体を用い、免疫ブロット法(IB)で解析したところ、topoisomerase I、DNA helicase IIおよびreplication protein Aなどと異なる分画に20Sプロテアソームのαサブユニットや26SプロテアソームのATPaseサブユニットが検出された。このことから、PCNAに結合した複合体にはいくつかの異なる複合体が存在し、DNA複製装置とは独立してプロテアソームがPCNAに結合していることが示された。さらに、このPCNA結合プロテアソームの組成を各種プロテアソーム構成蛋白に対する抗体を用いて検討したところ、PA28γ(Ki)に加えて20Sプロテアソームのαおよびβサブユニット,PA700のATPaseおよびp52サブユニットが検出されることが確認された。この分画を抗原源としてPA28γ(Ki)およびPA700のATPaseサブユニットに対する抗体を用いた免疫沈降法を実施し、その沈降物の構成蛋白を解析したところPCNAに加えて、PA28,20SプロテアソームおよびPA700の各成分が検出された。この事実から、PCNAにはいわゆるハイブリッドタイプのプロテアソームが結合し、おそらくPCNAの制御に関与していることが示唆された。
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