研究概要 |
抗PCNAモノクローナル抗体を用いたアフィニティーカラムで、PCNA蛋白複合体を精製し、その構造を解析した結果、proteasome activator(PA) 700,20S proteasomeおよびPA28(γ)_7が結合したhybrid typeプロテアソームがPCNAに結合していることが示された。SLEの患者血清中には約20%の頻度でPA28γ(Ki)に対する自己抗体が検出されることが知られていたので、各種膠原病患者血清のプロテアソームに対する免疫応答について解析した。その結果、抗PA28γ抗体がSLEの24%、シェーグレン症候群(SjS)の13%に検出されるのに対し、他のproteasomeの構成成分であるPA28αに対する抗体がSLEの26%、primary SjSの23%に検出されることが示された。このことは、両抗体の対応抗原が同じproteasomeの構成成分ではあるものの、その自己抗体の疾患特異性は異なっており、抗PA28α抗体はSjS診断に有用であることが示唆された。また、両抗体の出現には連鎖が認められ、一方が陽性であると双方の出現率が2倍以上になることが示された。この両抗原の免疫応答の連鎖のメカニズムを解析する目的で、両抗原が共に結合する20S proteasomeに対する免疫応答を解析した。その結果、20S proteasomeのαサブユニットに対する抗体陽性例では共に両抗体の出現率が3倍以上になることが示された。また、proteasomeと結合するPCNAに対する抗体の出現率も10倍以上の高値となっていた。以上の事実からproteasomeに対する免疫応答では抗原提示が重要な役割を有し、さらにproteasomeを軸とした自己抗原への免疫応答の伝播の可能性が示唆された。
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