【目的】多発性筋炎ではperforinが筋線維障害に重要な役割を果たしていると考えられている。granulysin(GLN)はcytolytic T-cell内でperforinと同じgranuleに局在し細胞障害作用を有する。本研究では多発性筋炎の筋線維障害にGLNが関与しているか検討することを日的とする。平成16年度はrecombinant(r-) GLNをつくり、培養ラット筋細胞(L6)に対する細胞障害作用について調べた。 【方法】(1)L6に対するr- GLNの細胞障害性をMTTアッセイで測定した。(2)L6障害性がアポトーシスによるものかどうかtunnelアッセイで検討した。(3)r-GLNをjurkat細胞に投与すると細胞内に取り込まれる。L6でも同じ現象がみられるか免疫蛍光染色法で検討した。 【成績】(1)GLNは濃度依存的にL6に対して細胞障害作用を示した。50uM GLNでは32.8±2.7%のL6が障害された。YT細胞より抽出されたperforinとGLNをL6に同時に投与すると細胞障害作用は相加的に増加した。(2)50uM GLNをL6に投与した場合、tunnelアッセイではDNA断片化を呈した筋細胞はわずかであった。(3)予備的な実験では免疫蛍光染色で、GLNをL6に投与30分後細胞内にGLNが認められた。MTTアッセイではGLN投与30分後で認められたL6障害作用は5%以下であった。 【結論】GLNは筋細胞障害性を有するがアポトーシスが何らかの機序で抑制されていると考えられた。
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