研究概要 |
【目的】granulysin(GLN)はcytolytic T-cell内でperforinと同じgranuleに局在し細胞障害作用を有する。本研究では多発性筋炎の筋線維障害にGLNが関与しているか検討した。 【方法】recombinant(r-)GLNをつくり、培養ラット筋細胞L6に対するr-GLNの細胞障害性をMTT assayで測定した。(2)L6障害性がアポトーシスによるものかどうかTunel assayで検討した。(3)r-GLNをjurkat細胞に投与すると細胞内に取り込まれる。L6でも同じ現象がみられるか免疫蛍光染色法で検討した。(4)L6細胞内にr-GLNを発現させ細胞障害性、DNA断裂の有無を測定した。(5)L6細胞とYT細胞を混合培養しStCL2でYT細胞に脱顆粒を起こさせた時のL6障害性をsiRNAでGLN発現を抑制した場合と、しない場合とで比較した。(6)PM, DMおよび非免疫性筋疾患患者の生検筋でのGLNの局在を免疫蛍光染色で調べた。 【成績】(1)GLNは濃度依存的にL6に対して細胞障害作用を示した。(2)GLNをL6に投与した場合、TunelアッセイではDNA断片化を呈した筋細胞はわずかであった。しかしL6細胞内にGLNを発現させるとDNA断裂が認められた。(3)siRNAでGLN発現を抑制するとYT細胞脱顆粒によるL6障害作用が抑制された。(4)L6はGLNを細胞内に取り込まなかった。(5)PM生検筋では筋線維に隣接したCD3陽性細胞に一致してGLNが認められたがDM,他の筋疾患では認められなかった。 【結論】GLNは筋細胞を傷害するが細胞内に取り込まれないことによってapoptosisを引き起こすことはない。PM筋組織では筋線維に隣接したT細胞にGLNの発現が見られGLNはperforinと同様にPMの筋線維障害に重要な役割を果たしていると考えられた。
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