研究概要 |
近年、自己免疫寛容の維持には従来提唱されてきた自己反応性リンパ球のクローン排除あるいはクローン麻痺に加え、末梢における制御性T細胞による自己反応性T細胞の抑制が重要な役割を担うがこの制御性T細胞に特異的に規定する遺伝子がFOXP3である。末梢の自己反応性リンパ球がどのような機序で末梢の制御性T細胞を免れてヒト自己免疫病態を形成するかを解明することは非常に重要であるが、FOXP3遺伝子のヒトでの発現調節や活性化機構に関して詳細な検討は殆ど報告されていない。そこで、本申請では初年度は転写因子FOXP3遺伝子の発現・機能、活性化機構に焦点をあてて解析することを目的としたCOS7にFOXP3の発現ベクターを遺伝子導入後、FOXP3のアミノ酸配列CEAPEKQRTLNEIYHの15merのペプチドに対するウサギポリクローナル抗体にてFOXP3の発現を確認。さらに、サイトカイン刺激後のCD4陽性細胞、MT-2などの成人T細胞性白血病の細胞株でmRNA (Real time PCR)および蛋白レベル(FACScan、Western blotting)でのFOXP3の発現を確認。さらに、FOXP3が結合するDNA配列モチーフをルシフェラーゼレポーター発現ベクターに組み込んだプラスミド3X-FKH-luciferaseをリンパ球にNucleofectorを用いて遺伝子導入し、IL-2刺激やHTLV-1 tax P40のco-transfectionを施行したが、ルシフェラーゼ活性は不変であった。今後は同様の検討をTh1 (IL-12,IFNγなど)およびTh2サイトカイン(IL-4,10,13など)、ケモカイン(MIP-1,CCR5など)による刺激。細胞表面機能分子(CD3,CD28,CD154,ICOS, CD44など)をリガンド或いは抗体による架橋にて刺激、その他のウイルス蛋白(CMV-EAなど)、あるいは薬剤添加の影響(Cyclosporin, FK506, corticosteridsなど)に関して検討する予定である。
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