平成17年度も引き続き研究代表者らが作成した診断基準を用い、重症慢性活動性EBウイルス(EBV)感染症症候群患者5例(年齢5-15歳、男3例、女2例)を検討し、以下の結果を得た。1、PCR法を用いた末梢血単核球および組織(主にリンパ節)におけるEBVゲノムの同定は、全例陽性であった。末梢血単核球でのコピー数は著しく増加していた。2、EBVゲノム陽性細胞における潜在EBV関連抗原の発現は、5例中4例で、EBV-determined nuclear antigen(EBNA)-1およびlatent membrane proteins(LMPs)を認めた。また、主な感染細胞は、T細胞が4例、NK細胞が1例であった。3、これらの細胞では、EBV増殖関連抗原(viral capsid antigenおよびearly antigen)の発現を認めなかった。4、末梢血および組織では、特異な染色体異常を認めなかった。5、自然末梢血単核球培養系では、前記2の抗原発現が、経時的に減少した。6、IL-2添加末梢血単核球培養系では3例で、前記2の抗原発現の経時的増加を認め、EBV陽性細胞株を樹立した。7、臍帯血単核球との混合培養では、株化は認められなかった。なお、対照としたEBV抗体陽性健康人では、末梢血単核球におけるEBVゲノムを認めなかった。自然末梢血単核球培養、臍帯血単核球との混合培養でもEBV陽性細胞株は樹立されなかった。加えて、主な免疫学的解析では、対照ではいずれもGranzyme B、IL-12、インターフェロン-ガンマの発現を伴うEBV特異的細胞障害性Tリンパ球およびNK細胞活性を認めたが、患者では、Granzyme Bの発現は低下し、NK細胞活性も5例中4例で低値をみた。
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