研究課題/領域番号 |
16591005
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大浦 敏博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10176828)
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研究分担者 |
小林 圭子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70108869)
呉 繁夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10205221)
坂本 修 東北大学, 大学病院, 助手 (20333809)
根東 義明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00221250)
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キーワード | シトリン欠損症 / シトルリン血症 / SLC25A13 / 新生児スクリーニング / 新生児肝内胆汁うっ滞 / NICCD / ガラクトース血症 |
研究概要 |
[緒言]シトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞症(NICCD)の症状は多彩で、診断に苦慮する場合が多い。その長期予後も不明であり早急にその臨床像を明らかにし治療・予防法を確立する必要がある。[研究方法]SLC25A13遺伝子異常が確認されたNICCD症例の主治医に対してアンケートを行ない69名より回答を得た。その内、新生児マススクリーニングを契機に発見された27名につき解析した。[結果]精密検査対象となった検査項目はガラクトース、メチオニンがそれぞれ7名、5名であったが、両者同時に陽性となったものが9名と最多であった。また、複数項目での陽性や初回と再検時の陽性項目が異なるなどの特徴がみられた。生化学的検査ではγGTP(291±136IU/L)、総胆汁酸(259±117nmol/mL)の著増、低蛋白血症(4.64±0.54g/dL)、高ガラクトース血症(44.3±33mg/dL)、軽度の高アンモニア血症(120±43μg/dL)が特徴であった。測定したほとんどの症例(15/17)でヘパプラスチンテストが低下していた。アミノ酸分析では測定された24例で異常がみられ、特にシトルリン(10.2±6.1mg/dL)、メチオニン(5.83±3.9mg/dL)が著増していた。全例特殊ミルクによる治療が行なわれていた。主なものは乳糖除去ミルク(18例)、低Metミルク(3例)、MCTミルク(4例)、蛋白除去ミルク(3例)であった。脂溶性ビタミンは半数に投与されていた。[考察]今回のアンケート調査で回答のあったNICCD症例69例中27例(39%)がマススクリーニングを契機に発見されており、マススクリーニング陽性例の鑑別診断の際には必ずNICCDを念頭におかなくてはならない。特にガラクトースとメチオニンなど異なる複数の項目で陽性となる場合や初回と再検時の陽性項目が異なるなど予想外の結果が出た場合には注意が必要である。現時点(最年長23才)では肝不全やII型シトルリン血症を発症したものはないが、今後発症する可能性もあり注意深い経過観察が必要である。
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